歯列矯正は医療費控除の対象?条件・計算方法・申請のやり方を専門医が解説

結論:噛み合わせの改善など「治療目的」の歯列矯正は、大人でも医療費控除の対象になります。 対象外なのは、見た目だけを整える美容目的の矯正です。年間の医療費が10万円(所得200万円未満の方は所得の5%)を超えた分について、確定申告をすると所得税の一部が戻り、住民税も軽減されます。矯正は高額な治療のため、控除の効果も大きくなりやすい制度です。領収書の保管と申告を忘れなければ、数万円〜十数万円の負担軽減につながることもあります。

 

本記事の監修:矯正歯科GoSmile横浜(横浜駅西口徒歩3分) 日本矯正歯科学会認定医・世界矯正歯科医会(WFO)フェローの矯正専門医夫妻が監修。矯正治療歴35年以上、累計12,000症例以上(2025年時点)。※税金に関する個別の判断は、税務署または税理士にご確認ください。

 

医療費控除とは?

医療費控除とは、1年間(1月〜12月)に支払った医療費が一定額を超えた場合、所得から控除されて税金の一部が戻る制度です。

 

対象となるのは、本人だけではありません。生計を同じくする家族の医療費を合算できます。たとえば、お子さんの矯正費用と家族の通院費・薬代をまとめて申告できます。控除の上限は200万円です。

 

歯列矯正が医療費控除の対象になる条件

対象になるケース

国税庁は「歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて、歯列矯正が必要と認められる場合の費用」を対象としています(出典:国税庁)。具体的には次のようなケースです。

 

  • 噛み合わせの改善を目的とした矯正:咀嚼や発音など機能面の問題を治すための治療
  • 子どもの矯正:発育のために必要な治療として、ほとんどの場合が対象になります
  • 大人の矯正でも治療目的のもの:不正咬合の改善を目的とする場合は、年齢に関係なく対象になり得ます

 

対象にならないケース

  • 美容目的だけの矯正:機能的な問題がなく、見た目だけを整える場合

 

  • 医師の診断に基づかない自主的な処置

大人の矯正は「美容目的か治療目的か」の判断が慎重に行われます。歯科医師の診断書があると、治療目的であることの証明として有効です。必要な方は当院でも作成しますので、お申し付けください。

 

控除の対象になる費用の範囲

矯正の装置代だけではありません。次の費用も対象に含められます。

 

  • 検査料・診断料・装置費用・調整料・処置料など、治療にかかった費用全般
  • 医師の処方による医薬品(痛み止めなど)
  • 通院のための交通費(電車・バスなどの公共交通機関。自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外)
  • デンタルローンで支払った場合は、その年に実際に支払った分

 

領収書と、交通費の記録(日付・区間・金額のメモ)を必ず保管してください。

 

 

いくら戻る?計算方法と目安

計算式はシンプルです。

 

 

医療費控除額 =(年間の医療費合計 − 保険金などの補填額)− 10万円

 

※所得の合計が200万円未満の方は、10万円ではなく「所得の5%」を差し引きます。

 

戻る金額の目安は「医療費控除額 × 所得税率」です。さらに翌年の住民税も軽減されます。

 

還付額の早見(矯正費用100万円を支払った場合の所得税還付の目安)

 

年収の目安 所得税の還付目安
約300万円 約45,000円
約500万円 約90,000円
約800万円 約180,000円
約1,200万円 約207,000円

 

 

さらに住民税(10%程度)の軽減も加わるため、実際の負担軽減は上記より数万円多くなります。矯正費用100万円なら、実質8〜20万円ほどお得になる計算です。

 

※実際の金額は所得や他の控除によって変わります。あくまで目安としてご覧ください。

 

対象になるか迷いやすいケース

 

子どもの矯正

発育段階にある子どもの矯正は、正常な発達のために必要な治療として、ほとんどの場合が対象になります。1期治療(小児矯正)・2期治療とも対象になり得ます。

 

大人の矯正

「治療目的か美容目的か」で判断が分かれます。噛み合わせの機能的な問題を改善する治療なら対象になり得ます。迷う場合は診断書を用意し、税務署に確認するのが確実です。

 

対象外になりやすいもの

 

  • ホワイトニングなど、見た目だけを目的とした処置
  • 歯科医院で購入した歯磨き粉・ケア用品
  • 自家用車で通院した場合のガソリン代・駐車場代

 

保険適用の外科矯正を受けた場合

保険適用でも、自己負担分は医療費控除の対象にできます。ただし高額療養費制度などで払い戻された金額は差し引いて計算します。

 

申請のやり方|4ステップ

歯列矯正で医療費控除を受ける流れ

 

  1. 治療目的か確認する:噛み合わせの改善目的であることを確認します。大人の方は診断書の取得を検討してください
  2. 領収書・明細を保管する:治療費の領収書と交通費の記録を1年分まとめておきます
  3. 確定申告で申請する:翌年の2月中旬〜3月中旬に、医療費控除の明細書を添えて申告します。会社員の方も、医療費控除は年末調整では受けられないため確定申告が必要です。国税庁のe-Taxならオンラインで完結します
  4. 還付を受け取る:申告後、指定口座に所得税の還付金が振り込まれます。住民税は翌年度の税額が軽減されます

申告を忘れていた場合も、5年以内であればさかのぼって申告できます。

 

申告時期を逃した場合・年をまたぐ支払いの扱い

医療費控除は「支払った年」ごとに計算します。治療が2年にまたがる場合は、それぞれの年に支払った分をその年の申告に含めます。一括払いなら支払った年に全額を計上できるため、支払い方によって控除の効き方が変わることもあります。

 

また、申告を忘れていた場合も安心してください。確定申告の期限から5年以内であれば、さかのぼって「還付申告」ができます。過去の矯正費用の領収書が残っている方は、今からでも申告する価値があります。

 

歯列矯正の医療費控除に関するよくある質問

 

  1. 大人の歯列矯正でも本当に対象になりますか?
  2. 噛み合わせの改善など治療目的であれば対象になり得ます。美容目的と判断されると対象外です。判断に不安がある場合は、診断書を用意したうえで税務署に確認するのが確実です。

 

  1. デンタルローンで分割払い中です。いつの分を申告しますか?
  2. その年に実際に支払った分が対象です。ローン契約をした年に信販会社が立替払いした場合は、立替払いの年の医療費として扱われるのが一般的です。契約書・領収書を保管し、詳細は税務署にご確認ください。

 

  1. 家族の分もまとめて申告できますか?
  2. できます。生計を同じくする家族の医療費は合算できます。所得税率の高い人がまとめて申告すると、還付額が大きくなりやすいです。

 

  1. 矯正費用そのものを抑える方法はありますか?
  2. 費用の全体像と抑え方は「歯列矯正の費用相場はいくら?」の記事で解説しています。また、顎変形症など特定の症状では保険適用となる場合があります。詳しくは「顎変形症の矯正は保険適用になる?」の記事をご覧ください。

 

  1. 領収書をなくしてしまいました。再発行できますか?
  2. 医院によっては再発行や支払証明の発行に対応できる場合があります。まずは治療を受けた医院にご相談ください。なお現在の申告では領収書の提出は不要で「医療費控除の明細書」を作成する方式ですが、領収書は5年間の保管が求められます。大切に保管してください。

 

この記事の監修クリニック

矯正歯科GoSmile横浜(横浜駅西口徒歩3分) 歯並びだけでなく、骨格・筋肉・脂肪・皮膚まで含めて顔全体の印象をデザインする「モテスマイル」矯正を提供。担当医は日本矯正歯科学会認定医(1997年・1998年認定)、世界矯正歯科医会(WFO)フェロー。医療費控除に必要な診断書の作成にも対応しています。初診相談は無料キャンペーン実施中(通常3,300円)。

 

参考資料

  • 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm
  • 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
  • 矯正歯科GoSmile横浜「不正咬合と歯列矯正治療」 https://gosmile.jp/orth-01/
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