結論:受け口の多くは歯列矯正で改善できます。 ただし、受け口の原因は「歯の傾き(歯性)」「骨格(骨格性)」「あごを前に出す癖(機能性)」の3つに分かれます。原因によって治療法は変わります。歯が原因なら矯正単独で改善しやすいです。下あごの過成長など骨格が主因の場合は、外科矯正の併用が有効なことがあります。大切なのは、治療前に「自分の受け口がどのタイプか」を精密に診断してもらうことです。
本記事の監修:矯正歯科GoSmile横浜(横浜駅西口徒歩3分) 日本矯正歯科学会認定医・世界矯正歯科医会(WFO)フェローの矯正専門医夫妻が監修。矯正治療歴35年以上、2000年の開院以来、累計12,000症例以上の矯正治療実績(2025年時点)。厚生労働省認定「顎口腔機能診断施設」として、保険適用の外科矯正にも対応しています。
受け口・しゃくれ(反対咬合)とは?どんな状態?
受け口とは、下の前歯が上の前歯より前に出て噛み合っている状態の俗称です。 「しゃくれ」とも呼ばれます。歯科の専門用語では「反対咬合(はんたいこうごう)」または「下顎前突(かがくぜんとつ)」と呼びます。
通常、上の前歯は下の前歯より少し前に出て噛み合います。受け口ではこの前後関係が逆転しています。横顔で下あごが前に張り出して見えたり、口を閉じたときに下唇が前に出て見えたりするのが特徴です。
受け口は、見た目の印象だけでなく機能面にも影響します。前歯で食べ物を噛み切りにくい。サ行やタ行が発音しにくい。こうした悩みにつながることがあります。日本人の不正咬合の中では上顎前突や叢生ほど多くはありませんが、当院でもご相談の多い症状のひとつです。
なぜ受け口になる?3つの原因タイプ

タイプ1:歯の傾きが原因(歯性)
上の前歯が内側に傾いている、または下の前歯が外側に傾いているケースです。骨格に大きな問題はありません。そのため、矯正治療で歯の傾きを整えることで改善が期待できます。
タイプ2:骨格が原因(骨格性)
下あごの骨が上あごより大きく前に成長しているケースです。あるいは上あごの成長が不足しているケースもあります。遺伝的な要因が関わることが多いタイプです。骨格のずれが大きい場合、歯を動かすだけでは十分に改善しないことがあります。程度が大きければ、外科矯正(顎変形症治療)の適応となります。条件を満たせば健康保険が適用されます。
タイプ3:あごを前に出す癖が原因(機能性)
下あごを前に突き出す癖や、舌で下の前歯を押す癖が関わっているケースです。特に成長期のお子さんに多く見られます。習癖の改善や早期の矯正治療によって、骨格の成長を良い方向に導ける場合があります。
受け口を放置するとどうなる?
受け口は自然に治ることが少なく、成長とともに骨格性へ移行して重症化することがあります。放置した場合、次のようなデメリットが指摘されています。
- 前歯で噛み切れない:咀嚼の効率が下がり、奥歯に負担が集中します
- 発音への影響:サ行・タ行などが不明瞭になりやすくなります
- 顎関節への負担:噛み合わせのずれが顎関節症の一因になることがあります
- 横顔・輪郭への影響:下あごの突出が強調され、加齢とともに気になる方が増えます
- 心理的影響:横顔を気にして、人前で話す場面がストレスになりがちです
特にお子さんの受け口は、成長のタイミングを逃さないことが重要です。気になる場合は早めの相談をおすすめします。
受け口の矯正治療法は?
ワイヤー矯正(表側・裏側)
ブラケットとワイヤーで歯を動かす方法です。幅広い症例に対応でき、受け口治療の中心的な選択肢です。上の前歯を前方へ、下の前歯を後方へ動かして噛み合わせを整えます。装置を歯の裏側に付ける裏側矯正なら、治療中であることをほとんど気づかれません。仕組みは「裏側矯正(リンガル矯正)とは?」の記事で解説しています。
マウスピース型矯正装置(インビザライン等)
透明なマウスピースで歯を動かす方法です。軽度〜中等度の歯性の受け口に適応できます。ただし、骨格性の受け口や大きな移動が必要な症例では、単独では難しいことがあります。適応の見極めには矯正専門医の診断が不可欠です。
小児期の早期治療
成長期のお子さんの受け口には、あごの成長をコントロールする装置を使う早期治療が有効な場合があります。上あごの成長を促したり、下あごの過成長を抑えたりするアプローチです。骨格の土台を整えることで、将来の治療を軽くできる可能性があります。
外科矯正(顎変形症治療)
骨格性の受け口には、矯正治療と顎の手術を組み合わせる外科矯正が根本的な解決策となります。「顎口腔機能診断施設」の認定を受けた医療機関で顎変形症と診断された場合、矯正治療・手術ともに健康保険が適用されます。手術は身体の成長が止まってから行うため、おおむね高校生以降が適応の目安です。保険適用の条件は「顎変形症の矯正は保険適用になる?」の記事で詳しく解説しています。手術を先に行う「サージェリーファースト」という方法もあります。
▶関連記事:「サージェリーファーストとは?」
受け口の矯正費用はどれくらい?
複数の矯正歯科の公開料金をもとにした、おおよその目安は次のとおりです。
| 治療法 | 費用目安 | 期間目安 |
|---|---|---|
| ワイヤー矯正(表側) | 約60万〜130万円 | 1年半〜3年 |
| ワイヤー矯正(裏側) | 約100万〜170万円 | 1年半〜3年 |
| マウスピース型矯正 | 約60万〜120万円 | 1年〜3年 |
| 小児期の早期治療 | 医院により幅がある | 経過観察を含め長期 |
| 外科矯正(保険適用時) | 自己負担3割で総額25万〜35万円程度 | 2〜4年 |
※上記はおおよその目安です(出典は記事末の参考サイト)。歯の状態・装置・医院によって変わります。正確な金額は必ず精密検査のうえで確認してください。噛み合わせの改善を目的とした矯正治療は、医療費控除の対象になる場合があります。
受け口矯正に関するよくある質問
- 子どもの受け口は放っておくと自然に治りますか?
- 反対咬合は自然に治ることが少なく、成長とともに骨格性へ移行して重くなることがあります。成長期は骨格に働きかけやすい時期のため、早めに矯正専門医へ相談することをおすすめします。
- 大人の受け口でも治せますか?
- 歯と歯ぐきが健康であれば治療は可能です。ただし成人の骨格性の受け口は、矯正単独で改善できる範囲に限界があります。外科矯正を含めた選択肢の比較検討をおすすめします。
- 受け口を治すと横顔も変わりますか?
- 前歯の位置や噛み合わせが整うと、下あご周りの印象が変わる方は多くいます。特に外科矯正では骨格ラインそのものが変わります。ただし変化の程度は原因タイプによって異なるため、シミュレーションでの確認が安心です。
- マウスピース矯正だけで受け口は治りますか?
- 軽度の歯性の受け口であれば、マウスピース型矯正で改善できるケースがあります。一方、骨格性や大きな移動が必要な症例では単独での改善は難しいことがあります。適応の判断は精密検査が前提です。
この記事の監修クリニック
矯正歯科GoSmile横浜(横浜駅西口徒歩3分) 歯並びだけでなく、骨格・筋肉・脂肪・皮膚まで含めて顔全体の印象をデザインする「モテスマイル」矯正を提供。担当医は日本矯正歯科学会認定医(1997年・1998年認定)、世界矯正歯科医会(WFO)フェロー。米南カリフォルニア大学(USC)研修プログラム修了、米ニューヨーク大学(NYU)審美歯科コース修了、Incognito裏側矯正システム認定、インビザライン認定など国内外での研鑽歴多数。厚生労働省認定「顎口腔機能診断施設」として保険適用の外科矯正にも対応。初診相談は無料キャンペーン実施中(通常3,300円)。
参考資料
- 厚生労働省「歯科疾患実態調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-17b.html
- 日本口腔外科学会「顎変形症などの骨格性の不正咬合」 https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_gaku/
- 矯正歯科GoSmile横浜「不正咬合と歯列矯正治療」 https://gosmile.jp/orth-01/